君が照らす人生は、いつだって温かい




病室に戻る途中、
廊下の窓から体育館が見えた。

リハビリ室の一角にある小さな体育館。

お年寄りがゆっくりバスケットボールをついている。

俺の体育館じゃない。

でも、ボールの音は同じだ。

『三年の夏の大会には、間に合わないほうがいい』。

先生の声が、頭の中で何度もリピートされる。

じゃあ、俺の夏はどこにいくんだ。

インターハイ。

ウインターカップ。

テレビや配信で見てきた『夢の舞台』。

そこに立つ自分を、何度も想像してきた。

その全部が、一枚のフィルムみたいに、
現実から剥がれていく感じがした。

ベッドに腰を下ろす。

固定具に包まれた左足が、やけに重い。



「バスケ、諦めろってことかよ……」



誰にともなく呟く。

手を伸ばせば、まだボールをつかめる気がする。

でも、床を蹴ることはできない。

『諦めたくない』と『諦めなきゃいけない』が、
胸の中でぐちゃぐちゃに絡まった。