「ね、同じ高校生とは思えないでしょ」
「うん」
汗で額に張りついた前髪。
口元に浮かぶ、悔しそうな笑い。
味方に手を差し出して引き起こすときの、
さりげない力強さ。
その全部が、
『ちゃんと生きてる人』という感じをしていた。
あの夜、
柵の向こうを選ぼうとしていた自分とは、
あまりにも違う。
私は、今も変わらず『間違いばかり』の自分を抱えたままなのに。
「……?」
ふと、背筋がひやりとした。
ディフェンスの合間に、
春日井先輩がちらりと二階席を見上げた気がしたからだ。
目が合った、ような、
合っていないような。
気のせいかもしれない。
でも、心臓が一拍飛んだ。
「どうしたの?」
「ううん、なんでも」
顔をそらして、手すりを強く握る。
汗で湿った掌が、冷たい鉄に張り付いた。


