「……はい」
小さな声で答えると、
美由紀さんの表情が、ほんの少しやわらいだ。
「だよね」
「え?」
「だって、さっきから職員室前や保健室前を二往復してたから」
見られていた。
こういうの美由紀さん気にしてるのだろか。
恥ずかしさと後めたさで、耳まで熱くなる。
「ごめんなさい、なんか……」
「謝ることじゃないでしょ」
美由紀さんは、軽く首を振った。
「心配してくれる人、多いほうが、あいつも救われるから」
その言い方が、なぜか少し心強かった。
「春日井先輩、その……大丈夫なんですか」
勇気を振り絞って聞く。
美由紀さんは、一拍置いてから答えた。
「〝大丈夫〟って、簡単には言えないけど」
「……」
「骨にヒビ。靭帯も痛めてる。いわゆる〝バスケ選手あるあるの怪我〟の、ちょっと重めのやつ」
予想していた言葉より、少しだけ重たかった。
「でも、ちゃんと治療すれば、歩けなくなるとか、そういうのじゃないから安心して」
そこで、少し笑う。
「リハビリも始まってるし。今は、〝ここからどうしていくか〟考え中って感じかな」
「どうしたいか……」
「うん。〝バスケの復帰時期、いつ頃を目指していくか〟とか、〝それまでに何をしていくか〟とか」
それは、怪我の回復が思ったよりも時間がかかるのだと、察した。


