君が照らす人生は、いつだって温かい


◇

その日の放課後。

私は、
また体育館のある方向を無意識に見ていた。

と、そのとき。



「歩実ちゃん、だよね」



背後から、不意に声をかけられる。

振り向くと、
ポニーテールを揺らした女子が立っていた。

バスケ部のマネージャー、
夏目美由紀。

試合の時、
真っ先に春日井先輩に駆け寄った人。



「あ、はい」



名前を呼ばれた驚きで、
返事が一拍遅れる。



「この前の試合、見てたよね?」



「……はい」



二階席から見下ろす視界。

倒れた音。

白いテーピング。

全部、まだ鮮明だった。



「ありがと」



美由紀さんは、あっさりそう言った。



「こういうこと言うと変だけど、見ててくれる人がいるの、ありがたいから」



「いえ、そんな」



「それでさ」



美由紀さんは、
少しだけ言い淀んでから続けた。



「ひとつ、聞いていい?」



「はい」



「温人のこと、心配してる?」



真正面から言われて、
喉の奥がきゅっと締まる。

美由紀さんと春日井先輩の関係性を知りながらも、
私は嘘はつけなかった。