試合の翌日から、
私はなんとなく学校の中を遠回りするようになっていた。
体育館の前。
保健室の前。
職員室の前。
どこかに、
あの背の高いシルエットが立っていないかと、
期待してしまう。
でも、その姿は一度もなかった。
「だって……どこにいるか、分からないから」
「それはそうだけどさ」
瑠奈は、
しばらく黙ってから、小さく肩をすくめた。
「バスケ部の子とか、マネージャーさんに聞けばいいじゃん」
「聞けないよ」
「なんで」
「だって、〝なんで知りたいの〟って思われたら……」
言いながら、自分でも苦しくなる。
『なんで知りたいの』なんて、
聞かれたら困る。
うまく説明できない。
〝春日井先輩のことが心配だから〟なんて、
簡単に言えることじゃない。
「……歩実らしいね」
瑠奈は、少し笑った。
「じゃあさ。私が一回、バスケ部の子からそれとなく聞いてみよっか?」
「えっ」
思わず、前のめりになる。
「それ、できるの?」
「できるよ。知り合い多いから」
自慢げに言う。
「でもさ」
そこで、少し真面目な顔になる。
「最終的に会いに行くかどうかは、歩実が決めなよ」
「……うん」
会いに行く。
その言葉だけで、胸の奥がざわついた。


