「ほら、春日井先輩」
瑠奈が、下を指さす。
視線を追うと、
白いユニフォームの背番号4が、
ベンチの端に座っていた。
いつものようにコートに立っているのではなく、
ウォームアップジャージを着たまま、
タオルを首にかけている。
「今日はベンチスタートなんだって」
「……足、怪我したのかな?」
「うん。こないだの練習中にちょっとやっちゃったみたい。情報では〝コンディション不良〟って言ってるけど」
左足首に巻かれた太い白のテーピングが、
はっきりと見える。
ついさっき聞いた左足首の話と、
色が反転する。
どっちの足かなんて、
今はどうでもよかった。
白いテーピングが、
『これ以上は限界です』と主張しているみたいだった。
「でもさ」
瑠奈は、少し肩をすくめる。
「こういうときほど、途中から出てきてかっさらってくのが、春日井先輩なんだよね」
「うーん……無理しないといいけど」
小さく呟いた声は、ボールの音にかき消された。


