「今日もちゃんと、ここにいるね」 さっきまでより、はっきりとした声。 音程はところどころ不安定だけど、 感情だけは、ちゃんと乗っている気がした。 ――そのときだった。 教室のドアが、かすかにきしんだ。 ぎ、と小さな音。 心臓が、跳ねた。 振り向く勇気が出ない。 でも、 足音が一歩、二歩と近づいてくる気配で、 誰かが入ってきたことが分かる。 慌ててCDプレーヤーに手を伸ばし、 停止ボタンを押した。 音楽がぷつりと途切れる。 教室くらいの空気が、 一瞬で現実に引き戻された。