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「で、また〝ごめんなさい〟って言ったんでしょ?」
昼休み、購買でパンを二つ買って教室に戻ると、
瑠奈《るな》が机に突っ伏したまま言った。
「……なんで分かるの」
「分かるよ。あんた〝ごめんなさい〟と言うために生まれてきたんじゃないか疑惑あるから」
「そんな疑惑いらない」
「いや、マジで」
瑠奈は勢いよく顔を上げた。
短く切った前髪がぴょこんと跳ねる。
「昨日もさ、『ごめん、消しゴム貸して』って言ってきたじゃん。あれ、ごめん要素なくない?」
「え、だって急に借りたし」
「〝消しゴム貸して〟だけでいいんだって。謝り損」
パンの袋を開けながら、私は苦笑した。
「じゃあどうすればいいの」
「うーん」
瑠奈は、
チョコパンを一口かじりながら考えるふりをする。
「とりあえず、〝ごめん〟と〝大丈夫〟は禁止ワードにしよ」
「むずかしいルール来た」
「〝ありがとう〟と〝助かった〟に置き換えるの。はい、今から練習」
急に真面目な顔になる。
「私がなんか適当に言うから、あんたは、禁止ワード使わずに返事して」
「え、今から?」
「今から」
強制参加らしい。


