君が照らす人生は、いつだって温かい




「歩実、どっちやりたい?」



隣の席の瑠奈が、身を乗り出してきた。



「ソプラノ?アルト?」



「え、私?」



「他に誰がいるの」



「えっと……どっちでも」



「出た、〝どっちでも〟。そういうときは、〝こっちがいいけど、もしだめならこっちでも〟って言うの」



「長いよ」



「でも大事」



瑠奈は、
勝手にペンを取り出して私の楽譜に丸をつける。



「はい、歩実はアルト。私もアルト。一緒に低いほうでハモろ」



「決まった……」



「ま、練習しよ。ほら、ここの〝歩き出す〜〟のところとか、絶対歩実似合うから」



似合う。

その言葉が、少しだけ胸に残った。

自分に『似合う』ものなんて、
考えたことがなかった。

いつも、
『浮かないもの』とか『怒られないもの』ばかり選んできたから。