君が照らす人生は、いつだって温かい




夜、机に向かって数学の問題集を開く。

一次関数のグラフが並んでいるページ。

数式の意味はだいたい分かるけれど、
問題の意図がうまく読めない。



「ここで〝大丈夫〟、なんとかなると思うんじゃなくて、〝分からないから教えて〟って思えたらな」



瑠奈の顔が頭に浮かぶ。

ページの端に、
小さく『?』マークをつけて、いったん閉じた。

代わりに、
机の端に置いたCDプレーヤーに手を伸ばす。

昨日買ったばかりの『雨宿りの時間』。

一曲目から再生するか迷って、
結局三曲目に飛ばした。

『傘を閉じる前に』。

イントロが流れ出す。
窓の外は晴れているのに、音だけは静かな雨。

サビに入る前に、一度再生を止めた。

歌詞カードを開いて、言葉を追う。

『今日もちゃんと、ここにいるね』というフレーズがあった。

誰かが、
自分にそう言ってくれたみたいな気がして、
胸が熱くなる。

気づいたら、
口の中でそのフレーズを真似していた。