君が照らす人生は、いつだって温かい


◇

試合が終わったのは、一時間後だった。

結果は、65対61。

うちの高校の勝ち。



「やばい、最後のスリーしびれたね!」



「ね、あれはアニメかと思った」



観客席がざわざわしている中、
瑠奈が興奮気味に言う。

私も、
手のひらに汗をびっしょりかきながら、
拍手を送っていた。

最後の数分は、
ほとんど呼吸を忘れていた気がする。



「春日井先輩、二十八得点だって」



誰かが、スコア表を覗き込んで叫ぶ。



「あの人、一人で試合壊すよなー」

誰かの感想に、思わずうなずきそうになる。

でも、その『壊す』は、悪い意味じゃない。

退屈な試合を、ぐちゃっとかき混ぜて、
新しい形に変えてしまう人。



「ねえ」



体育館を出るとき、
瑠奈が少しだけ真面目な声で言った。



「また見に来ようよ」



「……うん」



あっさり同意している自分に、少し驚く。

昨日までの私なら、
『勉強が』とか『親が』とか、
何かしら理由をつけていたはずだ。



「なんかさ」



瑠奈は、
靴のかかとをコツコツ鳴らしながら、続ける。



「上から見てるだけでも、ちょっと元気出るんだよね。ああやって全力で走ってる人達見ると」



「うん。分かる」



あの夜の川沿いで、
暗闇に沈もうとしていた自分とは違う。

今は、
少なくとも誰かが全力で走っている場所に、
自分の体を運べている。

それだけで、少しだけ誇らしい。