君が照らす人生は、いつだって温かい




食後、食器を片づけながら、
ふとキッチンの窓の外を見る。

外は、すっかり夜だ。

でも、家の中は、どこかほんのり明るい。



「春日井くん、これ持って帰って」



義母が、小さめのタッパーを差し出した。



「カレー、まだ余ってるから。明日の朝でもお昼にでも食べてちょうだい」



「そんな、悪いですよ」

 
「〝山谷家特製今日まで生きてきたんだよカレー〟よ」



「急にサブタイトル付けないでくれる?」



「じゃあ、遠慮なくもらいます」



春日井先輩は、丁寧に頭を下げて受け取った。



「ありがとうございます。なんか、我が家に帰ってきたみたいです」



「それは言いすぎ」



そう言いながらも、
義母の口元は少し緩んでいた。

玄関まで見送りに出る。



「お邪魔しました」



靴を履きながら、春日井先輩が言う。



「またいつでもいらっしゃい」



義母が、あっさりと返す。



「今度は、あなたたちが何か作ってよ。オムライスでも、パスタでも」



「ハードル高いって」



「キッチンは無料で貸すから」



義母は、そう言って笑う。



「〝今日まで生きてきたんだよ〟って歌いながら作るカレーも、いつか食べてみたいわね」



「それ、絶対歌詞飛びますよ」



笑いながら、玄関のドアを開ける。

外の空気は、少しひんやりしていた。



「じゃ、また明日」



春日井先輩が小さく手を振る。



「うん。また明日」