君が照らす人生は、いつだって温かい


◇

食後、食器を片づけながら、
ふとキッチンの窓の外を見る。

外は、すっかり夜だ。

でも、家の中は、どこかほんのり明るい。



「春日井くん、これ持って帰って」



義母が、小さめのタッパーを差し出した。



「カレー、まだ余ってるから。明日の朝でもお昼にでも食べてちょうだい」



「そんな、悪いですよ」

 
「〝山谷家特製今日まで生きてきたんだよカレー〟よ」



「急にサブタイトル付けないでくれる?」



「じゃあ、遠慮なくもらいます」



春日井先輩は、丁寧に頭を下げて受け取った。



「ありがとうございます。なんか、我が家に帰ってきたみたいです」



「それは言いすぎ」



そう言いながらも、
義母の口元は少し緩んでいた。

玄関まで見送りに出る。



「お邪魔しました」



靴を履きながら、春日井先輩が言う。



「またいつでもいらっしゃい」



義母が、あっさりと返す。



「今度は、あなたたちが何か作ってよ。オムライスでも、パスタでも」



「ハードル高いって」



「キッチンは無料で貸すから」



義母は、そう言って笑う。



「〝今日まで生きてきたんだよ〟って歌いながら作るカレーも、いつか食べてみたいわね」



「それ、絶対歌詞飛びますよ」



笑いながら、玄関のドアを開ける。

外の空気は、少しひんやりしていた。



「じゃ、また明日」



春日井先輩が小さく手を振る。



「うん。また明日」