君が照らす人生は、いつだって温かい


自分の人生も。

先輩の人生も。

義母の人生も。

それぞれの人生も。

昨日までは『失敗の積み重ね』にしか見えなかった時間たちが、
少しずつ違う色に見え始めている。

電車がホームに滑り込んでくる。



「じゃあ」



 ドアが開く直前、先輩がもう一度、私の目を見る。



「これからも、一緒に照らし合っていこうか」



「はい」



世界で一番自然な返事が、
口からこぼれた。

ドアが開き、人が乗り降りする。

二人で並んで乗り込む。

窓の外のホームが、少しずつ後ろに流れていく。

揺れる車内で、
つないだ手のあたたかさだけは、
ずっと変わらなかった。

私はふと思う。

『君が照らす人生は、いつだって温かい。そう信じてみても、もういいかもしれない』
                        


——完