ホームに入ってきた電車の風が、
二人の髪を揺らす。
「これから先さ」
電車を待ちながら、
春日井先輩がぽつりと言う。
「また、間違えたり、転んだり、失敗したりすると思う」
「でしょうね」
「即答」
「お互い様です、って意味です」
笑いながら、指先に力が入る。
「それでも」
先輩は、遠くの街灯を見つめる。
「今日みたいな日を、〝失敗だらけの人生の、ちょっとだけ好きなページ〟じゃなくて、〝案外悪くない人生の、大切な一ページ目〟にできたらいいなって」
その言葉に、胸がまたじんとした。
「じゃあ、今日が一ページ目ってことにしましょう」
「勝手にタイトルつけていい?」
「なんですか」
「〝君が照らす人生は、いつだって温かい〟」
照れくさそうに笑う。
「長い」
「略して〝きみあた〟」
「もっとひどい」
でも、そのタイトルは、
びっくりするくらいすとんと胸に落ちた。


