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電車のホームに着くまでの道で、
先輩がふいに手を差し出してきた。
「なに」
「練習」
「なにの」
「〝今日まで生きてきた人生、そんなに悪くないかもね〟って思った日の、帰り道のやつ」
説明が回りくどい。
でも、意味は分かった。
そっと、自分の手を重ねる。
指先が、少しだけ震える。
「手、冷たい」
「緊張してるんです」
「俺も」
そう言って、
先輩は指をきゅっと絡めてきた。
川沿いの欄干に置いたときとは違う。
ライブハウスのマイクスタンドを握ったときとも違う。
ちゃんと、
『好きな人とつないでいる手』の感触。


