君が照らす人生は、いつだって温かい


文化祭の片付けが終わるころには、
空はすっかりオレンジ色から群青色に変わっていた。

校門のアーチも、
クラスで描いた看板も、
もう半分くらい片づけられている。



「おつかれ」



校舎の影から、春日井先輩が手を振った。

ギターケースはもうない。

代わりに、手にはコンビニのビニール袋。



「おつかれさまです」



「はい、打ち上げ」



差し出された袋の中には、
ペットボトルのお茶と、
小さいチョコレートの袋が二つ。



「質素……」



「高校生の財力なめないで」



「ありがとうございます」



受け取って、ペットボトルを両手で挟む。

ぬるくなりかけのお茶が、少しだけ心地いい。



「帰り、駅まで一緒でしょ?」


「はい」



「じゃ、行くか」



校門を出るとき、振り返る。

さっきまで自分たちが立っていた体育館の屋根が、
暗い空に溶けていく。

あの中で歌ったことが、
もう少しで『昨日』の出来事になる。