――君が照らす人生は、いつだって温かい。
それは、きっと一人分じゃない。
自分の人生。
先輩の人生。
義母の人生。
客席で拍手してくれた誰かの人生。
それぞれの『今日まで』が、
少しずつ温度を分け合っていた。
「私は」
自分でも驚くくらい、素直な声が出た。
「先輩がギター弾いてる横で歌ってるとき、〝あ、ここ、あったかいな〟って思いました」
ライブハウスでも。
今日の文化祭でも。
「先輩のギター、まだちょっと危なっかしいけど」
「今ディスった?」
「でも、その〝危なっかしいけど止まらない〟感じが、なんか好きです」
春日井先輩が、少しだけ目を見開く。
「それに、私が欄干の上でぐらぐらしてたときも、〝落ちないか不安〟がってましたけど」
夕焼けが、少しだけ赤くなる。
「今は、〝一緒にステージの上でバランス取り合える〟素敵な場所があって、よかったなって」
春日井先輩は、空を見上げたまま、小さく笑った。
「それ、けっこう反則級のセリフなんだけど」
「今の、セリフ扱いなんですか」
「心臓に良くない」
そう言いながらも、顔は嬉しそうだ。
「まあ、なんというか」
スポーツドリンクを一口飲んでから、
改めてこちらを見る。
「今日まで生きてきてよかった、って、ちょっとだけ思えた?」
「ちょっとどころじゃないです」
即答だった。
「めちゃくちゃ思えました」
「そっか」
春日井先輩の笑顔が、夕焼けの色と重なる。


