君が照らす人生は、いつだって温かい


◇

義母と別れて、
体育館の裏の通用口から外に出ると、
夕方の光が差し込んでいた。

空は、少し赤い。

体育館の脇のベンチに、
春日井先輩が座っていた。

ギターケースは足元に置かれ、
手にはスポーツドリンク。



「おつかれ」



缶のラベルを指でなぞりながら、
こちらを見る。



「おつかれさまです」



隣に座る。

さっきのステージのざわめきが、
まだ耳に残っている。



「どうだった?」



「体育館の反響、すごかったですね」



「客席から、結構、拍手聞こえてたよ」



「先輩のお母さんも来てました?」



「ううん。仕事」



春日井先輩は、少しだけ肩をすくめる。



「でも、ビデオ回してたやつにデータもらえたから、あとで見せる」



「いいですね」



「山谷さんのお母さんは?」



「来ました」



空を見上げながら答える。



「後ろのほうで、泣いてました」



「そっか」



春日井先輩の声が、少しやわらかくなる。



「ちゃんと、届いたんだな」



「〝今日まで生きてきたんだよ〟って歌詞聴いて、成長したなって言われました」



「褒め言葉だ」



「ですよね」



風が、少しだけ冷たくなってきた。

体育館の壁に反響していた自分たちの音が、
少しずつ夕方の空に溶けていく。