君が照らす人生は、いつだって温かい




義母と別れて、
体育館の裏の通用口から外に出ると、
夕方の光が差し込んでいた。

空は、少し赤い。

体育館の脇のベンチに、
春日井先輩が座っていた。

ギターケースは足元に置かれ、
手にはスポーツドリンク。



「おつかれ」



缶のラベルを指でなぞりながら、
こちらを見る。



「おつかれさまです」



隣に座る。

さっきのステージのざわめきが、
まだ耳に残っている。



「どうだった?」



「体育館の反響、すごかったですね」



「客席から、結構、拍手聞こえてたよ」



「先輩のお母さんも来てました?」



「ううん。仕事」



春日井先輩は、少しだけ肩をすくめる。



「でも、ビデオ回してたやつにデータもらえたから、あとで見せる」



「いいですね」



「山谷さんのお母さんは?」



「来ました」



空を見上げながら答える。



「後ろのほうで、泣いてました」



「そっか」



春日井先輩の声が、少しやわらかくなる。



「ちゃんと、届いたんだな」



「〝今日まで生きてきたんだよ〟って歌詞聴いて、成長したなって言われました」



「褒め言葉だ」



「ですよね」



風が、少しだけ冷たくなってきた。

体育館の壁に反響していた自分たちの音が、
少しずつ夕方の空に溶けていく。