「このジャケット、いいな」
視聴を終えてイヤホンを外すと、
改めてジャケットを見つめた。
暗い青。
小さな灯り。
タイトルの白い文字。
「買っちゃいなよ」
「お金ないって」
「今月のお小遣い、どれくらい?」
「五千円」
「だからそのうちの一枚を、今月の〝生きてたご褒美〟にすればいいじゃん」
「ご褒美って」
「何もなくても生きてるだけでえらいんだから、なんか一個くらいあっていいの」
あの夜と同じことを、
違う口調で言われたような気がして、
一瞬言葉を失う。
「……考えとく」
「出た、〝考えとく〟。まあ今日は視聴だけでもいいよ」
瑠奈は新譜コーナーから離れて、
別の棚に向かった。
「私、あっち見てくるね。なんか気になるのあったら持ってきて」
「うん」


