「どう、だった?」
私は今日の感想を気付けば聞いていた。
「うるさかった」
即答された。
「体育館のスピーカー、ちょっと音割れてたし。先生たちも、〝もうちょっと音量下げろー〟って顔してた」
「やっぱ、そうだよね……」
肩を落としかけたとき。
「でも」
義母は、言葉を足した。
「歩実の声は、ちゃんとお母さんに届いてた」
胸の奥が、きゅっとなる。
「〝今日まで生きてきたんだよ〟ってところでさ」
ハンカチで目尻を押さえながら言う。
「なんか、成長したなーって思った」
「成長?」
「そんなこと言えて、〝明日も胸張って生きていく”感じが伝わってきちゃったから」
その言い方が、すごく嬉しかった。
「途中でさ」
義母は、天井を見上げる。
「〝前のほうに行こうかな〟って一瞬思ったんだけど」
「うん」
「なんか、今の私は、後ろから見てたいなって思って」
体育館の一番後ろ。
出入り口近く。
そこから見ていた姿を思い出す。


