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ステージ袖に戻ると、
全員、一斉に息を吐いた。
「やっば……膝、まだ震えてる」
瑠奈が、自分の足を押さえる。
「手、スティックと一緒に震えてた」
美由紀さんが、
笑いながらスティックをくるくる回す。
「ギターソロ、またあっって言っちゃった」
春日井先輩が、頭をかく。
「でも、ライブハウスのときよりマシでした」
「マシなのか……」
そんな会話をしているとき、
袖のカーテンの向こうから、
控えめな声がした。
「歩実」
義母。
「ちょ、ちょっと行ってくる」
心臓を押さえながら、カーテンをくぐる。
体育館の横の通路。
人の流れから少し外れた場所で、
義母が立っていた。
目元は、うっすら赤い。
「……来てくれて、ありがとう」
それしか言えなかった。
「こちらこそ」
義母は、ほんの少し笑う。
「呼んでくれて、ありがとう」
手には、昨日渡した観覧券が、
しっかりと握られていた。


