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「次のステージは、一・二年生で結成したバンドのみなさんです!」
司会の声と、客席の拍手。
ステージの照明が、一段階強くなる。
足を一歩、踏み出した。
体育館の空気が、むわっと肌にまとわりつく。
マイクスタンド。
ドラムセット。
アンプ。
全部、見慣れているはずなのに、
今日は違う場所に見えた。
マイクの前に立つと、一瞬だけ会場が遠く感じる。
でも、客席のどこかに義母がいる。
それを思い出した瞬間、
体育館が少しだけ狭くなった。
「えーっと」
マイクを持つ手に、少しだけ力を込める。
「一・二年の……」
一瞬、
『バンド名決めきれず』と名乗りそうになって、やめた。
「一・二年の、春日井先輩たちのバンドです」
客席から、クスクスと笑いが起きる。
「バンド名、まだ決めきれてないので、今日はこれで」
笑いが少し大きくなった。
そのざわめきに、救われる。
「一曲目は、カバー曲です。聴いてください」
ドラムのカウント。
ギターのイントロ。
何度も練習した曲。
それでも、
Aメロの最初の一音で、少しだけ声が震えた。
ステージの照明が、眩しい。
客席が、暗い。
サビに入るころには、
手拍子が自然と起こっていた。
体育館の音は、
ライブハウスよりも少しぼやけている。
でも、その分、
声がふわっと広がっていく感じがした。
一曲目が終わる。


