君が照らす人生は、いつだって温かい


◇

「次のステージは、一・二年生で結成したバンドのみなさんです!」



司会の声と、客席の拍手。

ステージの照明が、一段階強くなる。

足を一歩、踏み出した。

体育館の空気が、むわっと肌にまとわりつく。

マイクスタンド。

ドラムセット。

アンプ。

全部、見慣れているはずなのに、
今日は違う場所に見えた。

マイクの前に立つと、一瞬だけ会場が遠く感じる。

でも、客席のどこかに義母がいる。

それを思い出した瞬間、
体育館が少しだけ狭くなった。



「えーっと」



マイクを持つ手に、少しだけ力を込める。



「一・二年の……」



一瞬、
『バンド名決めきれず』と名乗りそうになって、やめた。



「一・二年の、春日井先輩たちのバンドです」



客席から、クスクスと笑いが起きる。



「バンド名、まだ決めきれてないので、今日はこれで」



笑いが少し大きくなった。

そのざわめきに、救われる。



「一曲目は、カバー曲です。聴いてください」



ドラムのカウント。

ギターのイントロ。

何度も練習した曲。

それでも、
Aメロの最初の一音で、少しだけ声が震えた。

ステージの照明が、眩しい。

客席が、暗い。

サビに入るころには、
手拍子が自然と起こっていた。

体育館の音は、
ライブハウスよりも少しぼやけている。

でも、その分、
声がふわっと広がっていく感じがした。

一曲目が終わる。