◇
文化祭前日。
学校は、いつもと違う熱気に包まれていた。
廊下には、模造紙とガムテープと、
どこのクラスかよく分からないBGM。
体育館では、
ステージのリハーサル中らしく、
バンドの音が遠くから聞こえてくる。
「うちよりうまい?」
「うまいところもあるし、そうでもないところもある」
春日井先輩が、客観的な評価を下す。
「でも、〝自分たちの曲〟持ってるの、あんまりいないっぽい」
「じゃあ、〝オリジナルあるバンド〟枠で勝てる」
瑠奈が、妙な勝負心を燃やしている。
「勝ち負けじゃないけど、ちょっとは目立ちたいよね」
美由紀さんが、
ドラムスティックをくるくる回す。
「明日、頑張ろうね」
誰ともなく言ったその一言に、
全員でうなずいた。


