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放課後の商店街は、
部活帰りの制服とスーツの人とで、
にぎやかだった。
駅前のCDショップの自動ドアが開くと、
冷房の冷たい風と一緒に、
店内の音楽が耳に飛び込んでくる。
「いらっしゃいませー」
天井から吊り下がったスピーカーからは、
知らないアーティストのポップな曲が流れている。
「こっちこっち」
瑠奈が、
慣れた足取りで新譜コーナーに向かう。
色とりどりのジャケットが、
整然と並んでいた。
「ほら、これこれ!」
彼女が指差したのは、
前に借りたバンドの新しいアルバム。
暗い青の背景に、
ちいさな灯りがいくつも浮かんでいるジャケット。
タイトルは、「夜明けの向こう」。
「このタイトルからして歩実向きじゃない?」
「どういう意味」
「そのまんまの意味」
笑いながら、瑠奈はそれを手に取って、
視聴機に差し込んだ。
「ほら、これ。三曲目聴いてみて。たぶん好き」
渡されたイヤホンを片耳に差し込む。
重ためのギターと、
透明な声が混ざり合って、耳の中に広がった。
歌詞は、
夜の街を歩く誰かの独白みたいだった。
『終わらせたかった日々』とか、
『それでも手を振る誰か』とか、
そんな言葉が断片的に入ってくる。
「……なんか、分かる」
小さく呟くと、
反対側のイヤホンをしていた瑠奈がにんまりする。
「でしょ。あんた絶対これ好きだと思った」
「なんで分かるの」
「友達歴、なめんな」
曲がサビに入る。
『まだ終われない』『まだ終わらない』というフレーズが、
何度も繰り返される。
あの夜、
柵の向こうに行こうとした自分の手首を、
誰かがぐっと掴んだ感触がよみがえった。
あのとき、
誰かが『まだ終わらせるな』と言ってくれたから、
今こうしてこの歌を聴いている。


