君が照らす人生は、いつだって温かい


◇

放課後の商店街は、
部活帰りの制服とスーツの人とで、
にぎやかだった。

駅前のCDショップの自動ドアが開くと、
冷房の冷たい風と一緒に、
店内の音楽が耳に飛び込んでくる。



「いらっしゃいませー」



天井から吊り下がったスピーカーからは、
知らないアーティストのポップな曲が流れている。


「こっちこっち」



瑠奈が、
慣れた足取りで新譜コーナーに向かう。

色とりどりのジャケットが、
整然と並んでいた。



「ほら、これこれ!」



彼女が指差したのは、
前に借りたバンドの新しいアルバム。

暗い青の背景に、
ちいさな灯りがいくつも浮かんでいるジャケット。

タイトルは、「夜明けの向こう」。



「このタイトルからして歩実向きじゃない?」



「どういう意味」



「そのまんまの意味」



笑いながら、瑠奈はそれを手に取って、
視聴機に差し込んだ。



「ほら、これ。三曲目聴いてみて。たぶん好き」



渡されたイヤホンを片耳に差し込む。

重ためのギターと、
透明な声が混ざり合って、耳の中に広がった。

歌詞は、
夜の街を歩く誰かの独白みたいだった。

『終わらせたかった日々』とか、
『それでも手を振る誰か』とか、
そんな言葉が断片的に入ってくる。



「……なんか、分かる」



小さく呟くと、
反対側のイヤホンをしていた瑠奈がにんまりする。



「でしょ。あんた絶対これ好きだと思った」



「なんで分かるの」



「友達歴、なめんな」



曲がサビに入る。

『まだ終われない』『まだ終わらない』というフレーズが、
何度も繰り返される。

あの夜、
柵の向こうに行こうとした自分の手首を、
誰かがぐっと掴んだ感触がよみがえった。

あのとき、
誰かが『まだ終わらせるな』と言ってくれたから、
今こうしてこの歌を聴いている。