二曲目。
『今日まで生きてきたんだよ』
自分の声が流れてくるのを聞くのは、
変な感じだった。
「うわ、自分の声、こんななんだ……」
「それ毎回言うけど、他人から聞こえてるのはこっちのほうだからね」
春日井先輩が、笑いながら言う。
「ほら、ここ」
美由紀さんが、画面をスライドして、
サビの部分を指す。
「〝だからもう少しだけ〟のとこで、ちょっとシャクってる感じ、いいね」
「シャクってる?」
「音を一回下から当ててから、上に行ってるみたいな」
「無意識です」
「無意識でそれできるの、ずるい」
褒められているのか、
いじられているのか、よく分からない。
「で、問題のギターソロ」
スマホから、
わりと堂々としたズレた音が響き渡った。
「ぎゃー!」
先輩が、耳を塞ぐ。
「止めて! これは聴かなくていい!」
「ここが一番大事なとこでしょ」
美由紀さんが、容赦なくボリュームを上げる。
ソロの途中で、『あっ』という情けない声。
その直後に、客席から笑いと拍手。
「……」
先輩が小さくなる。
「でもさ」
瑠奈が、にやにやしながら言う。
「この〝あっ〟があるから、なんか生っぽくて好き」
「そうそう。〝ミスしたのにちゃんと最後までやりきった感〟ある」
「そうなの?」
「そうなの」
三人から同じ方向の感想が出て、
春日井先輩は観念したように肩を落とした。
「分かった。じゃあ、次からも〝事故ったら全力であっって言う〟方向でいく」
「そこまで積極的に事故らなくていいです」
笑い声が、音楽室に広がる。


