◇
翌日。
放課後の音楽室は、
いつも以上ににぎやかだった。
「はい、注目ー!」
美由紀さんが、スマホを掲げる。
「昨日のライブ、録音したやつ、今からみんなで聴きます」
「やめてくださいって言ってませんでした?」
瑠奈が、ベースを抱えたまま青ざめる。
「自分のミスを直視してこその成長です」
「スパルタだ……」
春日井先輩も、
ギターを抱えながら微妙な顔をしている。
「俺の〝あっ〟も入ってる?」
「ばっちり高音質で」
「消去ボタンないの?」
「ありません」
容赦がない。
「じゃ、いきまーす」
再生ボタンが押される。
スピーカーから、
ライブハウスのざわざわした空気が流れ込んでくる。
ドラムのカウント。
ギターのイントロ。
一曲目のカバー。
「あ、ここ、すでにコード違う」
瑠奈が、春日井先輩の肩をつつく。
「分かってる……」
「でも、意外とお客さんノッてくれてるね」
客席の歓声や手拍子も、ちゃんと入っている。
「問題はこっから」


