「やめたくなるときも、怖くなるときもある。そのときは、〝約束破った最低な自分だ〟って一人で決めつけないで、〝今こういう状態なんだ〟って、ちゃんと誰かに話すこと」
「誰かって」
「バンドのメンバーでも、私でも、先生でも」
テーブルの上で組んでいた手を、
そっとほどく。
「一人で抱え込んで、またあの冬のように、毎日泣きそうな顔を見るは一番嫌」
その言葉に、喉の奥がぎゅっとなった。
「あのときみたいに、〝全部自分の責任〟だって決めつけないでほしいの」
「……分かった」
涙が出そうになるのを、
なんとかこらえる。
「テストもちゃんとやる。予定もちゃんと言う。怖くなったら、話す」
「うん」
義母は、少しだけ笑った。
「じゃあ、文化祭までは、全力でやりなさい」
「いいの?」
「うん」
短く、はっきりと。
「文化祭って、学校の行事の中では一番、〝変なこと〟が許される日だからね」
その言い方が、
なんだか可笑しくて、笑ってしまう。
「……ありがとう」
本当に言いたかった言葉が、
やっと口から出た。


