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学校から帰ると、
義母はリビングで待っていた。
テーブルの上には、朝のプリントと、
学校の年間行事予定表。
その光景だけで、
話の内容がだいたい予測できてしまう。
「座って」
促されて、対面の椅子に腰を下ろす。
心臓が、いつもより少しだけうるさい。
「昨日のライブのことなんだけど」
義母は、予定表に指を置いたまま言う。
「危ないことはしてないって言ってたし、そこは信じてる」
「うん」
「でもね、〝これからも同じようにオッケー出せるか〟っていう話は、ちゃんとしておきたい」
その言い方は、
感情的ではなく、淡々としていた。
だからこそ、余計に逃げ場がない。
「私が一番怖いのはね」
義母は、プリントの一文を指でなぞる。
「バンドそのものじゃなくて、〝バンドに没頭している間、他のことが見えなくなっちゃう〟って状態なの」
胸が、ズキッとした。
「授業サボってスタジオ行くとか、テスト前なのにオールで練習するとか。そういうの」
「そんなこと、しないよ」
「今はね」
静かに返される。
「でも、今後どうなるかは分からないでしょ」
言葉に詰まる。
自分の『逃げグセ』を、
一番よく知っているのは自分だ。
「それに」
義母は、少しだけ声を落とす。


