君が照らす人生は、いつだって温かい


◇

玄関のドアを開けると、
リビングからテレビの音が聞こえた。



「ただいま」



「おかえり」



義母は、ソファで雑誌をめくっていた。

時計は、もう二十二時に近い。



「遅かったのね」



「ライブ、押してて」



靴を脱ぎながら答える。



「どうだった?」



「まあまあ」



とっさに、そう言葉が出た。



「まあまあ、って?」



「ソロで事故ってた人が一名」



「事故?それ、あなたじゃないわよね?」



「違う。ギターの春日井先輩」



思い出して笑う。



「でも、〝今日まで生きてきたんだよ〟って曲は、ちゃんと歌えた」



その報告だけは、真っ先にしたかった。

義母は、雑誌を閉じてこちらを見る。



「ちょっと待って、歌えた?」



「うん」



「そっか」



短く、それだけ。

でも、その『そっか』には、
いろいろな意味が込められている気がした。



「歩実?」



「あとでも大丈夫?ちょっと疲れちゃって」



鞄を部屋に置きに行こうとして、
一歩目で足が止まる。

玄関からリビングまでの間に、目に入ったもの。

リビングの低いテーブルの上に、
学校から配られたプリントが置きっぱなしになっている。

『校外活動に関するお願い』。

目に入った一行に、心臓が少し強く打った。