君が照らす人生は、いつだって温かい






「そういえばさ」



いくつか駅を過ぎたころ、ふいに先輩が言った。



「ライブ終わったあと、あの他校のボーカルの子に話しかけられてたでしょ」



「見てたんですか」



「見てた」



「盗み聞きしてました?」



「ちょっとだけ」



悪びれない。



「〝歌詞刺さりました〟って言ってたじゃん」



「言ってましたね」



「あれ、めちゃくちゃ嬉しかったでしょ」



「……はい」



誤魔化しようがない。



「羨ましかった?」



「え?」



思わぬ方向からの問い。



「何がですか」



「あの子」



春日井先輩は、膝の上で指を組みながら言う。



「同じ〝ボーカル〟同士でさ。俺、ちょっと見てて羨ましかったもん」



「どういう意味で」



「なんか、〝自分の歌詞をちゃんと受け止めてもらえる場所に、もう立ってる人〟って感じがして」



それは、私も少し感じていた。



「あの子、絶対場慣れしてましたよね」



「してたね。マイクの立ち姿とか」



春日井先輩は、
窓ガラスに映る自分の姿をちらっと見る。



「でもさ」



少し笑う。



「正直に言うと、俺が一番嬉しかったのは、あそこで〝山谷さんの曲、よかったです〟って言われてたことなんだよね」



「先輩の曲でもあるでしょ、あれ」



「まあ、作曲クレジット半分くらいは欲しいけど」



「やっぱりロイヤリティ目当てだ」



「でもさ」



真面目な目になる。



「〝今日まで生きてきたんだよ〟って言葉、書けるの山谷さんしかいないから」



その断言が、くすぐったくて、
怖くて、何より嬉しかった。

胸のあたりが、じんわり熱くなる。