「バスケができなくなった後悔とか、病院で八つ当たりした後悔とか、いろいろごちゃごちゃしてたんだけどさ」
視線は、まだ窓の外に向いたままだった。
「今日、〝今日まで生きてきたんだよ〟って一緒に鳴らせたから、〝まあ、ちょっとはマシなほう行けたかな〟って思えた」
それは、
ずるいくらいに胸に刺さる言葉だった。
反射的に、聞き返していた。
「一緒に鳴らせた、って?」
「うん」
今度は、ちゃんと目が合う。
「山谷さんが書いた言葉を、俺のギターの音で鳴らせたから。なんかさ、コートじゃない場所で、〝パス受けて決めてもらった〟みたいな感じ」
バスケの比喩が、妙にしっくりくる。
「今日は、俺がパス出したつもりだったけど」
「私、パス受け取れました?」
「がっつり三点シュートまで決めてた」
「バスケ分からないけど、すごいっぽい」
「すごい」
真面目な顔で言うから、こっちが照れる。
窓の外に、川が一瞬だけ見えた。
暗くて、欄干はよく見えない。
それでも、あの夜と同じ川だと分かった。
今は、線路の上から見下ろしている。
少しだけ、世界の見え方が違っていた。


