そのとき、少し離れたところで、
他校のバンドのボーカルの子が話しかけてきた。
「あの、さっきの曲、凄くよかったです」
「え」
「〝今日まで生きてきたんだよ〟ってやつ。その言葉、刺さりました」
歳は、たぶん同じくらい。
「歌詞、自分で書いたんですか」
「はい」
「いいなー。私、いつも人の書いた歌詞だから」
そう言って、少し照れくさそうに笑う。
「またどっかで一緒になったら、聴かせてください」
「はい、またどっかで」
そんな約束が、
本当にあるかどうか分からない。
でも、
ライブハウスの薄暗い照明の下で交わされたその一言は、
不思議と現実味を持って胸に残った。


