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そんなこんなで曲が形になってきた頃、
春日井先輩がまた爆弾を落とした。
「そういえばさ」
空き教室で休憩しているとき。
ペットボトルの水を飲みながら、さらっと言う。
「ライブハウス、出ない?」
「は?」
同時に変な声を上げたのは、私と瑠奈だった。
「文化祭の前にさ。場慣れしといたほうがいいかなーって」
「ちょっと待ってください。順番おかしくないですか」
「おかしいかな?」
「普通、〝文化祭で経験積んでからライブハウス〟ですよね」
「普通の順番で生きてきたら、俺と川沿いで会ってないと思うけど」
妙な説得力がある。
「知り合いの先輩が、駅の近くの小さいライブハウスで〝高校生限定イベント〟やっててさ。出てみない?って誘われたんだよね」
「高校生限定イベント……」
それだけ聞くと、楽しそうにも聞こえる。
「もちろんノルマ少なめ。ワンドリンク制。お客さんは、友だち何人か呼べばそれで十分」
「料金の説明が妙に具体的」
「現実は大事」
たしかに、大事だ。
「私は、どっちでもいいよ」
美由紀さんが、ドラムスティックを肩に乗せながら言う。
「〝初ステージが文化祭〟っていう美しいルートもあるけど、〝初ステージが薄暗いライブハウス〟っていうのも、それはそれで味がある」
「味とか言わないでください。怖さしかないんですけど」
「でもさ」
春日井先輩が、こちらを見る。


