君が照らす人生は、いつだって温かい


途中で、
ベースのストラップがずり落ちて、
瑠奈が「うわっ」と変な声を出した。

ドラムのフィルインで、
美由紀さんが右と左を逆に叩いて、
「あ、左右逆だった」とつぶやいた。

春日井先輩は、
ギターソロのところで完全に指がもつれて、
「ごめん、今のは〝なかった〟ってことで」と苦しい言い訳をした。

ボロボロで、ガタガタで、
それでも最後のコードまで行き着いたとき。

誰かが笑い出して、全員つられて笑った。



「ひどかったね、今の」



「ひどかった」



「でも、楽しかった」



息を切らしながらそう言った春日井先輩の顔を見て、
胸の奥が少し震えた。

ここから、
少しずつ形になっていくのだろう。

うまくいかないことばかりで、
途中で何度も心が折れそうになって。

それでも、
『やるならちゃんとやる』と決めた四人で、
音を重ねていく。

その最初の一歩を、今、踏み出した。