「じゃあ、私」
ドラムセットのスツールに座って、
スティックを軽く打ち合わせる。
「夏目美由紀。ドラムはそこそこやれるつもり。でも、〝やるならちゃんとやる〟ので、よろしく」
その言葉は、あの日聞いたのと同じだった。
「ベースの瑠奈です」
瑠奈は、ベースを抱えながら言う。
「指が太いので、ロングネイルは諦めました。文化祭終わる頃には、指も細くなっているはずなので、倍返しで爪伸ばします」
「動機が不純」
「でも〝やるならちゃんとやる〟んで、よろしく」
あっけらかんと笑う。
「ギターの春日井です」
先輩は、ギターのストラップを肩にかける。
「〝バスケのエース〟から〝コードチェンジがもたつく人〟にジョブチェンジしました。やるならちゃんとやるので、よろしく」
三人が、同時に笑う。
「なんか、〝やるならちゃんとやる〟バンドだね、私たち」
「いいじゃん」
美由紀さんが、スティックでリズムを刻む。


