「よし、配置決めよう」
美由紀さんが、さっそく動き出す。
「ドラムはここ。ベースアンプはこっち。ギターはこっちで」
「私、どこに立てばいいですか」
「真ん中」
即答だった。
「ボーカルは真ん中でしょ。逃げ場なし」
「逃げ場……」
言葉の響きに、少しだけ背筋が伸びる。
「じゃあ、まずは自己紹介から」
瑠奈が、
なぜかマイクスタンドの前に立つ。
「ボーカル希望、山谷歩実さん。意気込みをどうぞ」
「なんでいきなりそうなるの」
「本番のMC練習」
強引すぎる。
「……えっと」
マイクを手に取ると、少しだけ手が震えた。
「中途半端に終わらせないように、頑張ります」
言ってから、
『終わらせない』ではなく『文化祭までは』と言い直そうか迷う。
でも、先に口から出た言葉は、
そのまま受け取ってもらうことにした。
「よろしい」
美由紀さんが、小さくうなずく。


