◇
翌日。
放課後の音楽室前の廊下は、
いつものように少しひんやりしていた。
「で、お母さんには?」
瑠奈が、
ロッカーにもたれかかりながら、
ニヤニヤしている。
「言った」
「なんて?」
「文化祭まではやるって約束したら、OK出た」
「おおー」
小さな歓声を上げて、瑠奈が両手を叩く。
「歩実、やるじゃん。革命じゃん」
「革命ってほどじゃないけど」
そこに、
ハーフアップの髪型を揺らしながら美由紀さんがやってきた。
「集まってるねー」
「みーゆーきさん、今日の髪型は〝バンド仕様〟ですか」
「誰がバンド仕様だ、誰が」
美由紀さんは、瑠奈の頭を軽く小突く。
「ドラマーだから。ちゃんとね」
その言い方に、
少し照れくささが混ざっていた。
「で、歩実ちゃんはお母さんクリアしたの?」
「はい。一応」
「よかった」
美由紀さんは、ふっと表情をゆるめる。
「あれ?温人は?」
「コーチと先生に話してくるって」
「〝バンドやるんで、バスケは一旦休憩します”って言うそうです」
「それ言ったら殺されるかも」
三人で笑ったところで、
松葉杖の音が近づいてきた。


