「え?」
「歩実が、〝絶対やめません!〟って胸張って言ったら、それはそれで心配だったから」
拍子抜けする。
「〝途中でやめない〟って、未来の自分を縛る言葉だからね。言った瞬間、〝やめたくなったときに自分を責める材料〟にもなる」
その言葉は、
自分自身の経験から出ているように聞こえた。
「じゃあ、どうすればいいの」
「うーん」
義母は、少し考えてから言う。
「〝文化祭まではやりきる〟って約束なら、できる?」
範囲が、少しだけ具体的になった。
「文化祭までは、絶対やめない。そこまで全力でやってみて、その先どうするかは、そのとき考える」
それなら、たぶん。
怖いけれど、
全く無理な約束でもない気がした。
「……それなら、できるかも」
「〝かも〟じゃなくて?」
「できる。文化祭までは、ちゃんとやってみる」
言い切った瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなった。
「よし」
義母は、小さく手を叩く。
「じゃあ、その約束で認めます」
「いいの?」
「うん。ただし」
ほんの少しだけ、目つきを鋭くする。
「〝勉強サボってバンドやります〟みたいなバランスの悪いことはしないこと。勉強も、最低限はちゃんとやること」
「最低限って」
「定期テストで赤点取らないくらい」
妙に具体的な基準だった。
「あともう一個」
義母は、指を一本立てる。


