君が照らす人生は、いつだって温かい


偶然、似ているだけかもしれない。

人の声なんて、記憶の中でいくらでも変形する。

それでも、もし本当に同じ人だとしたら。

私は、ちゃんと言えるだろうか。

あの夜のおかげで、今ここにいます。

ありがとう。

生きてみようと思えました。

そんな大げさなことを、
笑われずに伝えられるだろうか。



「無理だな……」



すぐに自分で否定する。

きっと私は、
その場になったらまた『ごめんなさい』って言うか、
黙り込んでしまう。

義母に対しても。

瑠奈に対しても。

そして、あの人に対しても。


――高校生なんだから、自分で決めなさいよ。


義母の声が、頭のどこかで反響した。

自分で決める。
欄干《らんかん》を越えるか、
越えないかを、あの夜は人に委ねてしまった。

これからは、
ちゃんと自分で選べるようになれるんだろうか。

体育館の光と、川沿いの闇が、
まぶたの裏で交互に浮かんでは消えていく。

世界は、きっとそんなに劇的には変わらない。

明日の朝も、同じテーブルでご飯を食べて。

同じように『勉強』の話をされて。

同じように『大丈夫です』と笑ってしまうのかもしれない。

それでも。

今日みたいに、ほんの少しどこかに寄り道して。

ほんの少し誰かに心を動かされて。

そんな小さな違いを、
ちゃんと拾える自分でいたい。