「……先輩は、バスケを諦めるんですか」
聞かずにはいられなかった。
春日井先輩は、
一瞬だけ目を伏せて、すぐにこちらを見る。
「〝諦める〟って言葉、まだ自分の口からは言いたくないけど」
正直だった。
「少なくとも、〝バスケ一本の人生〟からは降りるかな」
静かに言う。
「受験もちゃんとやって、バスケは〝できる範囲で続ける〟くらいにして。その代わり、バンドには本気で向き合いたい」
それは、
さっき先生から聞いた診断の現実と、
彼自身の意志が重なった場所なのだろう。
「山谷さんは?」
「私、ですか」
「うん。バンドに、どれくらい本気で向き合える?」
その問いは、
単に『バンドやる?』を超えていた。
〝自分の声と、どう付き合うか〟。
ずっと目をそらし続けてきたテーマに、
また光が当たる。


