君が照らす人生は、いつだって温かい




でも同時に、別の感情も浮かび上がる。



「……私、歌、そんなに上手じゃないですよ」



「知ってる」



「知ってるって……」



「いい意味でね」



春日井先輩は、すぐに付け足す。



「プロの歌手みたいに完璧な歌、俺たちは求めてないからさ。空き教室で、〝ここにいる〟って証明しようとしてた声があれば、それでいい」



その言い方が、
くすぐったくて、こわい。



「それに」



春日井先輩は、少し笑った。



「俺もギター初心者だし。美由紀もドラムは齧《かじ》った程度。大谷木さんもベース未経験。全員、ほぼスタートライン一緒なんだよ」



〝中途半端〟という言葉が、頭をよぎる。



「でも、今年の文化祭までは、まだ時間ある」



窓の外の校庭に視線を向ける。



「練習して、ケンカして、ちょっとずつ形になって。〝これから始まる続き〟を、ステージでやれたらいいなって」



『これから始まる続き』。

川沿いの暗闇。

空き教室の西日。

病院の白。

それら全部の先に、
ライトの当たるステージがある光景が、
頭の中にぼんやり浮かぶ。