◇
布団に入って、天井を見上げる。
まぶたを閉じると、
昼間の光景が何度も再生された。
四番の背中。
伸びる腕。
落ちてくるボールをつかむ指先。
汗に濡れた顔が、
ふいにあの夜の暗闇の中の横顔と重なる。
川沿いの道。
冷たい風。
『今日まで頑張ってきた君の人生に対して失礼じゃない?』という声。
あのとき、
私はあの人の顔をちゃんと見ていない。
涙でぼやけていたし、
俯いていたし、なにより見る勇気がなかった。
でも、声だけははっきり覚えている。
今日体育館で聞いた、
コートの中から仲間に飛ばす声。
『ナイスショット!』とか『ディフェンス!』、
『切り替え!』とか。
そのどれもが、
あの夜の言葉と同じ温度を持っている気がした。
「……まさかね」
布団の中で、小さく笑う。


