「蓮は詰めが甘いんだよ。最後まで気を抜くな」
ナイフにむかって人差し指を向けている、黒髪の男子生徒。
切れ長の目に整った顔立ちで、おれと同い年なのに身長が165センチもあるこいつは、夜鷹律。
幼馴染である律は“遠隔操作”の異能力をつかう。
遠隔操作は、自分の半径五メートル以内にある物を動かしたり、止めたりと、自由自在にあやつることができる能力だ。
ただ、あまりにも重たいものは難しいみたいだけど。
律は茂みにかくれていた男子生徒も、あっという間に拘束してしまった。
そして、おれの目の前まで歩いてくる。
くそ、相変わらずでかいな……っていうか、また背がのびたんじゃないのか?
「久しぶりだな、蓮。って、そんな怖い顔するなよ」
「……何だよ。おれは、お前と話すことなんて何もない。裏切り者のお前なんか……もう、顔も見たくなかった」
「……俺は、会いたかったよ。久しぶりに蓮の顔が見れて、うれしいけどな」
「……」
――何だよ、律のやつ。
今さら会いたかったとか、うれしいとか、そんなこと言われても……おれとお前は、もう友達でもないんだ。
だから、そんな寂しそうな顔をしないでほしい。
重たい沈黙が広がるなか、バタバタと駆ける足音が近づいてくる。



