「どうした? さっさとかかってこいよ、チビ」
先輩はニヤニヤと笑いながら、挑発するようなことをいってくる。
“チビ”
その言葉には、ついカチンときてしまう。
たしかにおれの身長は149センチで、男子の平均よりは低めだけど……チビだってバカにされるのが、おれは大嫌いなんだ。
はなから戦う気はなかったけど、ここまでいわれて、黙ってはいられない。
「……チビだってバカにしたこと、後悔させてあげますよ」
おれは上半身を前に倒して姿勢を低くしてから、異能力を発動させた。
力を足先に込めてから、先輩のほうに勢いよく駆けていく。
おれの異能力は“身体強化”だ。
普通の人間ではありえない速度で走ったり、ジャンプをしたり、本気を出せば車一台を持ち上げることだってできる。
先輩は、おれの速さに驚いているみたいであわてている。
そのすきに、先輩の背後まで回りこむ。
後ろに振り返った先輩の顔面目がけて、スレスレのパンチをお見舞いすれば、先輩は腰を抜かして地面に座りこんでしまった。



