無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます

 「自分の気持ちを自分で認めて、ちゃんと示すってことだ」

 示さなきゃ、伝わらない。伝えなきゃ、存在しないのと同じだ。

 「なにもしないのが一番楽だ。でもな」

 鈴川は丼の底を見つめながら言う。

 「なにもしなかった結果は、全部〝自分で選んだ〟ことになる」

 幹人の胸に重く落ちてくる。
 天音の横顔。素っ気ない声。そして、お見合という聞き慣れない未来。

 (奪う……)

 その言葉は怖いのに、やけに現実味を帯びて響いた。
 幹人はゆっくりと息を吐く。もうこのまま黙って見過ごすことはできなかった。