無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます

 「毎週水曜日に来てるんです」

 杉村は「そう」と頷いて、空いている隣の席を手で示した。

 「よかったら」

 一瞬迷ってから、天音は頷いて腰を下ろす。
 お決まりのタンタンメンの注文を済ませ、店員に出された水で喉を潤した。

 「加地くんいないと静かよね」

 箸を置きながら、杉村が言う。

 「そうですね。なんだか、すっかり総務の一員みたいになってて」
 「ふふ、ほんとね」

 それだけの会話なのに、鼓動がわずかに反応する。彼の名前が出るだけで意識してしまう自分がいるのが、少し悔しい。
 ほどなくしてタンタンメンが運ばれてきて、天音は湯気を避けながら箸を取った。

 「私も、ここではいつもそれよ」

 杉村はスープだけが残った丼を指差して微笑む。

 「そうなんですね」

 やっぱりこれが一番おいしいのよね、と思いながらレンゲでスープをすくって口に運んだ。

 「ところで」