無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます

 幹人は首を傾げながらも、どこか納得したように小さく笑った。

 「でも、努力とか計算とかより、直感で動くタイプよね。加地くんって」
 「そうですか?」
 「うん。迷ってるようで、決めるときは早いし」

 初詣に誘ったときもそうだった。
 回りくどい理由もなく、変に探りも入れず、ただ『付き合ってもらえませんか』と言っただけ。その真っすぐさが、今になって胸に残っている。

 「だから、大吉引くんだと思う」
 「よくわからない理屈ですね」
 「でも外れてないでしょ」
 「だったら悪くないです」

 そう言うと、幹人は一瞬だけ視線を逸らし、照れたように鼻の頭を掻いた。
 近くの木の枝におみくじを結ぼうと並んで立つ。どうせなら高い枝に結ぼうと、背の高い幹人は天音の分も軽々と遠くの枝に手を伸ばした。
 そういう場面に出くわすたびに、彼を男として意識してしまう。備品庫でダンボールを持ち上げたときや、体勢を崩した天音を支えてくれたときもそう。
 そしてそのたびに、年上の自分は彼にとって職場の先輩以上のものではないんだからと自分を言い含める。鈴川の立場と同じだ。

 甘酒を売っている屋台を見つけて、ふたり並んで木のベンチに腰を下ろした。
 湯気の立つ紙コップを受け取ると、冷え切った指先が温まっていくのがわかる。