ぽっちゃりな私を好きになるなんて、国宝級イケメン俳優おかしくないですか!?

【お疲れ様刑事】

「……あっ」

 撮影の休憩中。

 お弁当のハンバーグを食べようとした手が止まった。

 スマホの通知。

 ――《近況ノートを更新しました》

「きたぁぁぁ!!」

 思わず声が出る。

 スタッフさんが振り向いたけど、気にしない。

 だって。

 だって!!

 あたしの《《推し作家》》の通知だから!!




 あ、自己紹介が遅れました。

 あたし、佐藤あかり。

 一応、人気俳優。

 ……一応って言ったけど、ドラマ主演もあるし、CMも出てる。

 でも、

 世間のイメージは、

《ぽっちゃりでかわいい癒し系女優》

 うん。

 太ってることで売れてる。

 複雑だけど、仕事はあるから感謝。

 それより今は――。





「新作ぅぅぅ!!」

 あたしは撮影の合間なのに、即タップした。

 推し作家さん、久々の長編。

 しかも、

 異世界転生を卒業して――。

 現代ミステリー!?

「うわ、絶対おもしろいやつ!」

 ページをスクロールする。




 一話目。

 いきなり死体。

 きたきたきた。

 しかも。

 イケメン刑事登場!

 クール。

 過去あり。

 ちょっと闇持ち。


 うわ、好き! こういうタイプ。

 そしてバディ登場。

「……ん?」

 名前を見て、固まった。

 ――佐藤あかり。



「え?」

 もう一回見る。

 佐藤

 あかり

 ……あたし?

 いやいやいや。

 偶然でしょ、よくある名前だし。

 押し作家さんがわたしのこと知ってるかどうかわからないし。

 でも、

 読み進めたあたしは――。

「うそぉぉぉぉ!!」

 思わず叫んだ。

 そこにいたのは、

 ぽっちゃりで。

 食いしん坊で。

 運動音痴で。

 ドジで。

 でも、お人よしな刑事。

 名前は――。

 《佐藤あかり》。

「え、これ、あたしじゃん!!」

 しかも、

 めっちゃ太ってる!!