レンズ越しの犯罪者

愛斗との情熱的な余韻を肌に感じながら、ふみは乱れた衣類を手早く整えた。名残惜しさを断ち切るように彼へ最後の一吻を贈り、彼女は家路を急ぐ。
 自宅の扉を開けると、そこには厳しい表情で立ち尽くす父・貞夫の姿があった。
「愛斗くんとのデートは、楽しめたのか?」
「うん、楽しかったよ」
 短く、弾んだ声で答えた直後、ふみは思い出したように表情を凍りつかせた。その瞳にみるみるうちに涙が溜まっていく。
「ねえパパ……あのね、幸輝さんに乱暴されたの。無理やりキスされて、抱きつかれて……胸まで触られたの」
「なんだと? それは本当か……!」
 怒りに顔を震わせる父を前に、ふみは怯える小動物のように肩を震わせた。
「本当だよ。私には愛斗くんがいるのに……すごく怖かった」
 痛ましそうに娘を抱き寄せた貞夫は、その肩を力強く叩いた。
「ふみ、何も心配するな。この俺が必ず落とし前をつけさせてやる。辛い思いをさせたな」
「ありがとう、パパ」
涙を拭ったふみは、パッと花が咲いたような無垢な笑顔を見せてキッチンへと向かった。しかし、父に背を向けた瞬間、その顔から一切の体温が消え失せた。破滅へと向かう幸輝の姿を想像し、彼女の口角は愉悦に歪んでいた。
 翌朝、ふみは何事もなかったかのように再び愛斗のもとへ向かった。
 待ち合わせ場所で再会した二人は、周囲の目も憚らずに唇を重ね、吸い寄せられるように愛斗の車へと乗り込む。車内でもなお熱は冷めず、幾度も口づけを交わしてから、彼らは街へと繰り出した。
 二時間のショッピングを楽しんだ後、行き着く先はいつものラブホテルだった。
 部屋の鍵を閉めるなり、飢えた獣のように求め合う二人。二時間の密な情事を経て、心身ともに満たされたふみは、愛斗を伴って自宅へと戻った。
玄関をくぐると、そこには待ち構えていた貞夫と、そして床でガタガタと震えながら涙を流す幸輝の姿があった。
「ふみに謝れ、幸輝」
 父の地を這うような低い声に押されるように、幸輝が消え入りそうな声を絞り出す。
「……ふみさん、この前は、本当に……ごめんなさい……」
「えっ、口先だけ? 土下座して謝ってよ」
ふみの冷徹なまでの催促。幸輝は力なく床に膝をつき、額を擦り付けた。
「ごめんなさい、ふみさん……っ!」
惨めに許しを乞う男をゴミでも見るような目で見下ろしながら、ふみは平然と問いかけた。
「ねえ、私が頼んだこと、ちゃんとやってくれた?」
「……はい、やりました」
 幸輝が震える手で差し出した一冊のファイルを、ふみは満足げに受け取った。
「ありがとう。助かったよ」
 その声は、昨夜パパに向けたものと同じ、恐ろしいほどに純粋で無垢な響きを湛えていた。
「パパ、お土産買ってきたの。一緒に食べよう?」
 その後、ふみは貞夫と愛斗を伴って食卓を囲み、平然とデザートを口にした。
 やがて貞夫が二階へ上がると、リビングには二人きりの時間が訪れる。ふみは愛斗に甘えるようにまとわりつき、深い接吻を交わした。
「愛斗くん、ちゃんとあの人を脅しておいたから。もう何も心配しないでね」
「ありがとう、ふみ」
「愛斗くんのためだもん」
 ふみは愛斗の首に腕を回し、再び唇を塞ぐ。二人の甘い時間は、昏い策略の影を孕んだまま、どこまでも濃密に溶け合っていった。
二人はきすをして愛斗はふみを抱いた。
ふみをだいて愛斗は服をきた。
「ふみ気持ちよかったよ」
「ありがとう」
二人はきすをしてからイチャイチャしてから
ふみが夜ご飯を作るのを待った。