お風呂から上がった二人は、濡れた髪をタオルで拭きながら、並んでソファに腰を下ろし、テレビの画面を眺めていた。
すると、甘い香りが漂ってきそうな映像と共に、シュークリームのCMが流れてきた。
「シュークリーム、美味しそうだね」
弥生がぽつりと呟く。その横顔は、画面の中のお菓子に心惹かれているようで、幼い少女のような無邪気な輝きがあった。
「弥生さん、シュークリーム好きなの?」
「うん……でも、子供の時から食べてないな」
少しだけ寂しそうに笑う弥生に、愛斗はすぐに言った。
「じゃあ、今から買いに行こう」
弥生は驚いて目を瞬かせる。
「えっ、無理だよ。だってあれ、お金持ちの人しかゲットできないんでしょ? それにもう十時過ぎてるし、こんな時間にお店なんか空いてないよ」
CMの中では、貴族の王様やお姫様が、紅茶と共に優雅にシュークリームを頬張る様子が映し出されていた。長年、自分の欲しいものを我慢し、世間のこともよく知らずに生きてきた弥生には、あれがまるで別世界の食べ物のように見えていたのだ。
愛斗はそんな弥生の純粋な発言に、思わず声を上げて笑った。
「弥生さん、あれはただの演出だよ。CMだからね。普通の人でもいつでも食べられるんだ。それに行くのはコンビニだから、こんな時間でも年中無休で空いてるよ」
「そうなんだ……コンビニって、何?」
「行けばすぐわかるから、ほら準備して」
何のことだろう、と弥生は首を傾げながらも、愛斗が言うなら間違いないと、嬉しそうに頷いて支度を始めた。
夜の道を歩いてたどり着いたコンビニの明かりは、弥生にとってまぶしいくらいに新鮮だった。扉が開くと自動で音楽が流れ、所狭しと商品が並ぶ店内に、弥生は「すごい……」と目を丸くする。
愛生はまっすぐ洋菓子コーナーへ向かい、ショーケースの中を見た。
「ほら、あった。弥生さんが欲しがってたシュークリーム、全部種類あるじゃないか」
定番のカスタードから、生クリーム、チョコレート、季節限定の味まで、迷わず全種類を手に取り、かごの中へと入れていく。
「これだけあれば、今日と明日、ゆっくり楽しめるね。あと、シュークリームに合うようにコーヒーと紅茶も買っておこう」
飲み物を選んだ後、愛斗がお菓子コーナーを見ていると、弥生は興味津々で店内を見回していた。
「弥生さん、他に食べたいものある? 好きなだけ入れていいよ」
言われるままに、弥生は小さなクッキーや、昔食べたことのある懐かしい飴などを、少しだけ遠慮がちにかごに入れた。
二人が次に向かったのは雑誌や本のコーナーだった。
「本まで置いてあるなんて、本当にすごい場所なんだね」
弥生が呟く横で、愛斗は自分の欲しかったスポーツ雑誌を手に取る。
「弥生さんも何か選んでみなよ」
促されて、弥生は表紙を一つひとつ眺めていく。そして、白い背景に文字だけが書かれたシンプルな分厚い本を手に取った。『恋愛白書』と書かれたそのタイトルに、彼女は惹かれるようにそっと抱える。
「これがいい」
愛斗はそれを見ると、慌てたように言った。
「えっ、弥生さん、それは……他のにしよっか。雑誌とか、料理本とかさ」
すると弥生は不思議そうに首を傾げる。
「え? 雑誌は良くて、なんであの本はだめなの?」
愛斗は返す言葉に詰まり、そっとその本を手に取った。ページを少しだけめくると、そこには男女が裸で抱き合い、情熱的に愛し合う絵が描かれていた。
彼は顔を赤らめ、照れくさそうに弥生にそのページを見せる。
「だって……こういう絵がいっぱい載ってる本なんだ」
「……あっ」
弥生も内容を理解し、顔を真っ赤にしてうつむく。
「ご、ごめんなさい! これ、買うのやめる……」
すると、甘い香りが漂ってきそうな映像と共に、シュークリームのCMが流れてきた。
「シュークリーム、美味しそうだね」
弥生がぽつりと呟く。その横顔は、画面の中のお菓子に心惹かれているようで、幼い少女のような無邪気な輝きがあった。
「弥生さん、シュークリーム好きなの?」
「うん……でも、子供の時から食べてないな」
少しだけ寂しそうに笑う弥生に、愛斗はすぐに言った。
「じゃあ、今から買いに行こう」
弥生は驚いて目を瞬かせる。
「えっ、無理だよ。だってあれ、お金持ちの人しかゲットできないんでしょ? それにもう十時過ぎてるし、こんな時間にお店なんか空いてないよ」
CMの中では、貴族の王様やお姫様が、紅茶と共に優雅にシュークリームを頬張る様子が映し出されていた。長年、自分の欲しいものを我慢し、世間のこともよく知らずに生きてきた弥生には、あれがまるで別世界の食べ物のように見えていたのだ。
愛斗はそんな弥生の純粋な発言に、思わず声を上げて笑った。
「弥生さん、あれはただの演出だよ。CMだからね。普通の人でもいつでも食べられるんだ。それに行くのはコンビニだから、こんな時間でも年中無休で空いてるよ」
「そうなんだ……コンビニって、何?」
「行けばすぐわかるから、ほら準備して」
何のことだろう、と弥生は首を傾げながらも、愛斗が言うなら間違いないと、嬉しそうに頷いて支度を始めた。
夜の道を歩いてたどり着いたコンビニの明かりは、弥生にとってまぶしいくらいに新鮮だった。扉が開くと自動で音楽が流れ、所狭しと商品が並ぶ店内に、弥生は「すごい……」と目を丸くする。
愛生はまっすぐ洋菓子コーナーへ向かい、ショーケースの中を見た。
「ほら、あった。弥生さんが欲しがってたシュークリーム、全部種類あるじゃないか」
定番のカスタードから、生クリーム、チョコレート、季節限定の味まで、迷わず全種類を手に取り、かごの中へと入れていく。
「これだけあれば、今日と明日、ゆっくり楽しめるね。あと、シュークリームに合うようにコーヒーと紅茶も買っておこう」
飲み物を選んだ後、愛斗がお菓子コーナーを見ていると、弥生は興味津々で店内を見回していた。
「弥生さん、他に食べたいものある? 好きなだけ入れていいよ」
言われるままに、弥生は小さなクッキーや、昔食べたことのある懐かしい飴などを、少しだけ遠慮がちにかごに入れた。
二人が次に向かったのは雑誌や本のコーナーだった。
「本まで置いてあるなんて、本当にすごい場所なんだね」
弥生が呟く横で、愛斗は自分の欲しかったスポーツ雑誌を手に取る。
「弥生さんも何か選んでみなよ」
促されて、弥生は表紙を一つひとつ眺めていく。そして、白い背景に文字だけが書かれたシンプルな分厚い本を手に取った。『恋愛白書』と書かれたそのタイトルに、彼女は惹かれるようにそっと抱える。
「これがいい」
愛斗はそれを見ると、慌てたように言った。
「えっ、弥生さん、それは……他のにしよっか。雑誌とか、料理本とかさ」
すると弥生は不思議そうに首を傾げる。
「え? 雑誌は良くて、なんであの本はだめなの?」
愛斗は返す言葉に詰まり、そっとその本を手に取った。ページを少しだけめくると、そこには男女が裸で抱き合い、情熱的に愛し合う絵が描かれていた。
彼は顔を赤らめ、照れくさそうに弥生にそのページを見せる。
「だって……こういう絵がいっぱい載ってる本なんだ」
「……あっ」
弥生も内容を理解し、顔を真っ赤にしてうつむく。
「ご、ごめんなさい! これ、買うのやめる……」

